校長10分授業 第5回(最終回)
- 公開日
- 2012/02/23
- 更新日
- 2012/02/23
2月
今日は田中久重の話です。
田中 久重(たなか ひさしげ)は江戸時代から明治にかけて「東洋のエジソン」「からくり儀右衛門」と呼ばれ活躍した発明家です。
幼少期は五穀神社(久留米市通外町)の祭礼では当時流行していたからくり人形の新しい仕掛けを次々と考案して大評判となりました。からくり人形は弓を引き的を射るのですが、そのときに顔も本物同様に動き表情さえも変えるように見え、4発中1発外すという見事な仕掛けです。(これはビデオ映像でも見せました。)この頃、久重は「私は発明工夫をもって天下に名をあげたい。家業は弟に継がせてください」と言っています。そして彼は、九州各地や大阪・京都・江戸でも興行を行い、その成功により日本中にその名を知られました。そして彼はこう言っています。「工夫して作ったものに人々が驚き、感動を与えることができた。それが喜びだった。」
成人後は、懐中燭台、無尽灯(圧縮空気により灯油を補給する灯明)などを考案し「からくり儀右衛門」と呼ばれ人気を博しました。その後京都へ移り、天文学や蘭学などの静養の文化技術を学び、「万年自鳴鐘」を完成させました。2012年現在、重要文化財に指定されています。「万年時計」として知られるこの時計は平成16年に東芝、セイコーなどの研究者によって分析・復元されレプリカが平成17年の愛・地球博で展示されました。この復元作業には100人の技術者が携わり最新の機材を投入しましたが、解析に時間がかかり、愛・地球博の開催日までに動力の発条(ぜんまいばね)に使われている分厚い真鍮板を調達できなかった事などを理由に展示されたレプリカは完璧な復元には至りませんでした(開催中はステンレス製のぜんまいが代用されました)。現在「万年自鳴鐘」の原品は国立科学博物館に寄託され、平成19年には機械遺産(22号)に認定されました。
このような生涯について話をし、最後に田中久重の語録から言葉を紹介し、解説をして終わりました。「知識は失敗より学ぶ。ことを成就するには、志があり、忍耐があり、勇気があり、失敗があり、その後に、成就があるのである。」→「知識は失敗より学ぶ。そして、志、忍耐、失敗があって、その後に成功する。」