2024.7.6 マンガ「遥かなる甲子園」
- 公開日
- 2024/07/06
- 更新日
- 2024/07/06
校長室より
「甲子園球場」を目指す、高校野球の予選が始まった今、今日は、自分のマンガコレクションの中の一つの「遥かなる甲子園」を紹介したいと思います。
「遥かなる甲子園」は、今から35年以上前に出版されたものなので、保護者の方でもご存じない方が多いかもしれません。
沖縄県に実在した、風疹聴覚障害児のための聾学校を舞台に、高校野球にあこがれる少年達が、幾多の困難を乗り越え硬式野球部を作り、甲子園を目指すという物語です。
作者は、障がい者をテーマにした作品をいくつか描かれている山本おさむ氏。
漫画は実話を基にしながら描かれたフィクションであるため、実際にあった様々な事柄を知ることができ、また、考えさせられる漫画です。
その昔、「特殊教育学校野球部」(現在の特別支援学校野球部)は、都道府県内の大会に限り、特別に参加を認められるものであり、全国大会の甲子園への出場は叶わなかったのです。ここが、問題となり、物語は進んでいきます。
事実、1974年に、「福井ろう学校軟式野球部」が、全国高校軟式野球大会の福井県予選で優勝し、全国大会の出場権を獲得しながらも認められず、全国から高野連に抗議が殺到し、急遽、全国大会への出場が認められたということがありました。
この漫画のモデルとなった「北城ろう学校」は、1978年に設立されており、福井ろう学校の件の何年か後のことです。「福井ろう学校」は「軟式野球」であり、「北城ろう学校」の「硬式野球」とは異なりますが、同様な問題が起きていたのです。
読み進めると、障がい者に対する理解を深めることができるとともに、思わず、「福里ろう学校」(北城ろう学校をモデルとした漫画の中の学校名)のナインを思わず応援してしまう漫画です。
現在、初版の単行本(写真)、文庫版ともに、現在は絶版となっており、中古市場でしか出回っていませんが、マンガアプリで、一部は読むことはできるようです。
かつて担任をしていたとき、「水谷学級」の学級文庫に置いてあったので、当時の教え子は、「あー、あったあった」と思ってくれる人がいるかもしれません^^
「遥かなる甲子園」。家族で読める漫画として、おすすめです。