忘れられない話
- 公開日
- 2013/10/09
- 更新日
- 2013/10/09
校長室から
ある教員採用試験で面接を行った方から聞いた話が忘れません。
暑い夏、教室で一人一人面接を行っていた。3人の面接官の前で受験生が一人座り、質問された内容に答えたり、自分の考えを話していくのである。これで今後の自分の仕事が決まると考えると、誰もがドキドキしているのがわかる。
そんな中、一人の青年の順番となり、目の前に座った。背筋がしっかり伸び、体格もがっしりとしたスポーツマンタイプの青年だった。多くの質問していく中で、
「あなたが体験したことで、子供に話してあげたいことはありますか?」
の質問をしてみた。
彼は淡々とこう答えた。
「私は自衛隊の仕事をしています。中越地震で新潟の任務を終えて帰ってきました。途中のサービスエリアで隊員みんなで疲れて木陰で休んでいた時の話です。その時、おばあさんが目の前に歩いてこられました。そして、我々に手をあわせて『ありがとうございます』と言われたんです」
この時、涙を押さえるのに苦労した。その映像がまるで目の前で起きているかのようにしっかり頭の中を流れたからである。きっと面接官の二人も同じような気持ちになったんではなかろうか。体験は人を育てると言うが、この人に教壇に立っていただきたいと素直に思ったと語ってくれました。
忘れられない話です。