朝会より 【友達を傷つけた言葉】
- 公開日
- 2014/10/27
- 更新日
- 2014/10/27
校長室から
高校時代の恥ずかしい話を聞いてください。先生の17歳、高校2年の話です。陸上部の友達がいました。足が速く、無口で、しっかりした友達でした。高校は毎日、お弁当でした。昼は教室で好きな子達が適当に集まって食べるのです。そんな時、彼は一人、自分の席で食べていました。彼のお弁当は毎日、卵焼きでした。次の日も、そして次の日も・・・。みんなは彼は卵が大好きなんだと思っていました。そこで彼を「たまご」と誰かが呼び始めたのです。いつか僕も彼を「たまご」と呼んでいたように思います。でも彼は「たまご」と言われてもにっこり笑っているだけでした。
ある朝のSTの時のことです。一度も学校を休んだことがない彼がいません。担任の先生が重い口を開かれ言われました。「彼の母さんが亡くなられた」と。そして、母さんは長い病院生活だったことも教えてもらいました。
僕は言葉を失いました。「たまご」と彼を呼んでいた自分をすごく悔やみました。あの卵焼きは父さんが作ったものだったのでしょうか。それとも彼本人が作ったものだったのでしょうか。『辛かっただろうな』『淋しかっただろうな』『学校でも母さんを思い出させてしまった』彼になんと謝ればよいか言葉が見つからなかったです。何十年経っても後悔していることです。
生徒諸君、自分たちが何かで笑っている時、その裏で、誰かが苦しんだり、悲しんではいないでしょうか。先生のように顔を見ていても気付かなかったのです。顔が全く見られないラインなどはもっと怖く、ましてや文字が残り、ましてや広がります。人の悪口、陰口、決してたたかないようにお願いします。愚かな先生のようなことは決してしないようにお願いします。何十年経っても後悔している先生の話を聞いてもらいました。