校長です。２月頃になると思い出す曲があります。
校長です。チューリップの「サボテンの花」です。
校長です。同棲中の男女の悲しい話です。
校長です。小さなことでケンカしてしまうのです。
校長です。寒い冬の夜、彼女は部屋を飛び出ていくのです。

校長です。網掛けの手袋が突然の出来事を物語っています。
校長です。さらには洗濯機もまだ動いているのです。
校長です。いつも明るく、何でも尽くしてくれた彼女でした。
校長です。彼は淋しさで胸がつぶされそうです。

校長です。彼は何日もアパートで彼女を待ちます。
校長です。何日も何日も待ったと思います。
校長です。荷物ぐらいは取りに来るだろうと期待したんです。
校長です。でも結局、彼女は現れなかったのです。

校長です。ついに彼は部屋を出る決心するのです。
校長です。部屋の整理も一通り終わりました。
校長です。部屋の鍵を下ろすとき涙が止まらなかったのです。
校長です。自分から幕を降ろす辛さはよくわかります。

校長です。部屋を出る時、彼の目に付いたものがありました。
校長です。彼女が育てていたサボテンです。
校長です。なんと花をつけているではないですか。
校長です。手入れをしていた愛らしい彼女の姿。
校長です。サボテンに話し掛けていた彼女の姿。
校長です。昨日のことのように思い出されます。

校長です。彼は自分を責めるのです。
校長です。もう少し我慢すればと。
校長です。あの日さえなかったならと。

校長です。でもいつまでもくよくよしてはおられません。
校長です。彼女に代わる何かを見つけなくてはと。
校長です。悲しささに押しつぶされぬようにしなくてはと。
校長です。もう春はそこまで来ているのです。
校長です。もう終わりにしようと思うのです。
校長です。サボテンの花があまりにも悲しいです。

校長です・・・、校長です。