学校日記

「貧困でも子供には生活や心まで貧困にはさせたくない」親の気持ち わかりますか!

公開日
2016/10/03
更新日
2016/10/03

校長室から

8月18日放送の『NHKニュース7』で放送された貧困の高校生が放送されると、その反響でネット上で炎上したことが忘れられません。番組では、家庭の経済的事情から進学を諦(あきら)めざるを得なかったという高校3年生の女子生徒が登場し、番組終了後に彼女の“暮らしぶり”に批判が殺到したのです。

この高校生、高校卒業後にアニメのキャラクターデザインを学ぶ専門学校への進学を希望したのですが、入学金の50万円という壁にぶち当たり、やがては進学を断念するのです。彼女は「夢があって、強い気持ちがあるのに、お金という大きな壁にぶつかってかなえられないという人が減ってほしい。いろいろな人に知ってもらって、助けられていく人が増えてほしい」と話したのです。

ところがテレビを観た方の中の一部の方から「1000円以上のランチを食べている」、「『ONE PIECE』のグッズを購入したり、EXILEのチケットが届いたと喜んでいる、これはいかんだろう」「俺の家よりも豊かだ」と批判が殺到したのです。

悲しいかな、これって本当に正しいのでしょうか。貧困家庭はランチ食べてはいけないのですか。コンサートはいけないのですか。精一杯の楽しみ方でエンジョイしている方を批判するのはあまりにも日本人として悲しいです。貧困な方は普通の方の生活のマネすることさえも許されないのでしょうか。では貧困な方はスマホはもっていけないのでしょうか?

私の目の前には大学進学が我が家の収入ではではできないから、高校は工業高校へ行き、就職しますと言う中学生の生徒がいるのです。
また、こんなケースもあったのです。高校進学にあたり、私学助成金で本当に楽になったんですが、入学金だけは最初に立て替えなくてはいけないのです。戻ってくるのが6月以降と聞いています。この入学金ができずに高校進学を断念する家庭もあったのです。でも彼等の普段の生活はまったくそんなこと感じさせません。何故でしょう。

親は我が子を友達と比べ、淋しい思いをさせたくないと必死なんです。外から見て、貧困だと思わせるまで子供を惨めな環境に置こうと思う親などいないのです。「自分はどんなに惨めでも子供だけは・・・」「貧困だけど、生活、心までも貧困にさせたくない」この考えがうまくテレビで伝わっていなかったのでしょうか。テレビを観て意見を言っていただいた方はそこまで感じ取れないもので勘違いされたのではないでしょうか。

心まで貧困になっていない彼等をみていると思わず頑張れと言いたくなるのです。貧困でも、それでも夢を曲げてでも追いかける彼等は素晴らしくないでしょうか。時々生徒に「将来、しっかり働いて金持ちになれ!」「外車に乗ってやれ!」「腕ひとつで勝負したれや!」と言うのです。特に中学卒業して社会に出て行く生徒には必ず言うのです。忘れられないテレビ番組の出来事でした。(校長)