3日(金)なぜ正月に「雑煮」を食べるのか?
- 公開日
- 2020/01/03
- 更新日
- 2020/01/03
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雑煮の由来については、いろいろな説がありますが、柳原敏雄氏の著書『伝承日本料理』(NHK出版)ではこう紹介されています。
『雑煮は餅を主体にした羮で、もとは臓腑を保養するもので「保臓(ほぞう)」、それから「烹雑(ほうぞう)」へと変化したという説があります。また、九州で雑煮を「なおらい煮」とよぶところが多いのは、年越しの夜に神をむかえて行った祭りの直会(なおらい)として供饌の餅を下げ、雑煮を祝った事によると言われています。』
昔は温かいものを食べ、お腹を温めることで胃腸などの五臓六腑を健康に保ち、病気にかからないという考え方がありました。このことを臓器を保つという意味で「保臓」(ほぞう、ほうぞう)と呼び、その「臓」が「雑」に転じて「雑煮」になった、と。神様の魂が宿る、縁起物の餅を加えた、温かい汁物を正月に食べることで、1年の無病息災を願ったのです。
温かい汁物のことを昔は「羮(こう・あつもの)」と言っていました。雑煮もこの羮の一種です。平安時代の貴族の食事を調べてみると、冷たい料理が多い。今では温かいものを温かく食べることは当たり前ですが、当時はできなかったのでしょう。羮は体によいご馳走だったのです。
なお、神様に供える鏡餅では、2つの餅を重ねて飾ります。これは奈良東大寺で行なわれる法会「お水取り」がルーツのひとつとされています。平成30年で1,267回目を数え、1回も滞りなく毎年続いている行事です。このお供えの餅を檀供(だんく)というのですが、餅を1,300個以上ついて丸め、高く重ねて十一面観音様にお供えします。その簡易版が、餅を2つ重ねる鏡餅として広まったとも言われています。