「校長式辞」
「『ABCを大切に』を誰もが心がけてきた結果、その姿は、最高学年を名乗るのにふさわしく、地域や下級生に誇れるものとなりました」
そして、学年訓「トライ」にかけて、ラグビー日本代表で活躍した五郎丸歩選手の心がけについて説いてくれた。
「自分を支え、励ましてくれる家族や多くの人々に、常に感謝の気持ちをもって、これからの人生を歩んでいってください」
2016.3.18 卒業式式辞
厳しい寒さから解き放たれるかのように、校庭の木々が芽吹き、日、一日と春らしさを感じる頃となりました。
本日は、公私ご多用のところ、多数のご来賓の皆さまのご臨席を賜り、卒業式を挙行することができました。高いところからではございますが、厚く御礼申し上げます。ありがとうございます。
保護者の皆様、お子様のご卒業、誠におめでとうございます。ここに至るまで、ひとえに我が子の成長を願って、精一杯、育ててこられました保護者の皆様方には、心よりお祝い申し上げます。
そして、本日、古知野北小学校を巣立つ八十八名の皆さん、ご卒業、おめでとうございます。
たった今、卒業証書を手渡しました。昨年度、世界遺産の一つである「無形文化遺産」に登録された「美濃和紙の手漉き」です。その技術で、この秋に、自らが心を込めて漉きあげたものに名前を入れた証書は、まさに、世界にたった一枚しかない証書です。さわやかな返事と、証書を受け取るときの晴れやかな笑顔は、その証書を受け取るにふさわしい、堂々としたものでした。
さて、学年訓「トライ」のように、今日という日の「ゴールライン」にたどり着いた皆さん。六年間、今日まで誰もが元気よく通うことができました。
特に、いつも笑顔と共にさわやかにしてくれるあいさつ、ひとことも言葉を発せず心を磨くようにして取り組んできた清掃、常に整えられた教室環境など、「ABCを大切に」という合い言葉をどの学年よりも形に表してきた皆さん。「当たり前のことを バカにしないで ちゃんとやる」ことを地道に取り組んできました。この「ABCを大切に」する姿勢は、実は簡単そうで簡単ではないようにも思います。しかし、誰もが心がけてきた結果、その姿は、最高学年を名乗るのにふさわしく、地域や下級生に誇れるものとなりました。生きるための力の土台が築かれたと言ってもいいでしょう。本当に頼もしい八十八人です。
そして、学年訓「トライ」と言えば、昨年の秋、世界中を驚かせた、ラグビー日本代表の活躍は記憶に新しいところです。
そのチームで最も活躍した選手の一人である、五郎丸歩選手。独特のポーズから繰り出されるプレースキックは、誰もが印象に残っていることでしょう。その五郎丸選手は、「自分の心を整えるのは自分の行動しかない」と言っています。
このときの「自分の行動」とは、二つのことを指しています。
一つは、知っての通り、目の前のことに集中するための「ルーティーン」のこと。心を整えるために、いつもと同じ手順を繰り返します。
そして、もう一つは、日頃からの「トレーニング」のこと。自信をもってプレーすることが心を整えることにつながると、日々のトレーニング、すなわち準備を真剣に取り組みます。
これからの皆さんには、明るい未来とともに、時には乗り越えなければならない壁も待ち受けていることでしょう。そんなときは、自分の「心を整えて」乗り越えてください。そのためには、集中することと、自信をもって臨むための準備が大切です。特に、表には見えない「日頃の準備」をいかに大切にするか、は大きな鍵になってくることでしょう。しかし「ABCを大切に」してきたみなさんなら、きっとそんな力を身につけられるはずです。なぜなら、生きるための力の土台を築いてきたからです。
そして、日本ラグビー協会が掲げる「One for All,All for One」の精神ように、「一人はみんなのために、みんなは一人のために」行動し、自分を支え、励ましてくれる家族や多くの人々に、常に感謝の気持ちをもって、これからの人生を歩んでいってください。
結びとなりますが、本校の教育活動に対し、常に、温かいご支援とご協力を賜りました多くの皆様に、深甚の敬意と感謝を申し上げますと共に、本日お集まりの皆様方のご健勝と巣立ちゆく皆さんの輝かしい未来の確かな飛躍を祈念いたしまして、式辞といたします。
平成二十八年三月十八日
江南市立古知野北小学校長 水谷政名