クワ(桑)
- 公開日
- 2018/05/26
- 更新日
- 2018/05/26
校庭の自然
クワ:クワ科クワ属
プレハブ校舎の運動場側にあります。
カイコの餌として古来重要な作物であり,また果樹としても利用されています。
■特徴
落葉性の高木で,大きいものは15mに達するが,普段見かけるのは数m程度のものが多いようです。
果実は初夏に熟します。キイチゴのような,柔らかい粒が集まった形で,やや長くなります。熟すと赤黒くなり,甘くて美味しいそうです。
■生薬
ログワの根皮は桑白皮(そうはくひ)という生薬です。(日本薬局方による)
利尿,血圧降下,血糖降下作用,解熱,鎮咳などの作用があり,五虎湯(ごことう),清肺湯(せいはいとう)などの漢方方剤に使われます。
また,葉を茶の代用品とする「桑茶」が飲まれていた地域もあり,現在も市販されています。若くて柔らかい葉は天ぷらにして食べることもあるります。
■果実
果実は桑の実,どどめ,マルベリー (Mulberry) と呼ばれ,地方によっては桑酒として果実酒の原料となります。その果実は甘酸っぱく,美味であり,高い抗酸化作用で知られる色素・アントシアニンをはじめとする,ポリフェノールを多く含有します。
旬は4月〜5月です。キイチゴの実を細長くしたような姿で,赤黒くなります。蛾の幼虫が好み,その体毛が抜け落ちて付着するので食する際には十分な水洗いを行う必要があります。
また,非常食として桑の実を乾燥させた粉末を食べたり,水に晒した成熟前の実をご飯に炊き込む事も行われてきました。 なお,クワの果実は,キイチゴのような粒の集まった形を表す語としても用いられます。発生学では動物の初期胚に桑実胚,藻類にクワノミモ(パンドリナ)などの例があります。
■養蚕とクワ
桑を栽培する桑畑は地図記号にもなったほど,日本で良く見られる風景でした。養蚕業が最盛期であった昭和初期には,桑畑の面積は全国の畑地面積の4分の1に当たる71万ヘクタールに達したといいます。
しかし,現在,養蚕業が盛んだった地域では,生産者の高齢化,後継者難,生糸産業全般の衰退の中で,株を抜いて畑等に転用されたり,放置された桑畑も多く残ります。クワの木は成長が早く,大きく育ちますが,幹の中が空洞であり,若い枝はカイコの餌にする為に切り続けてきたので製材できる部分が少なくまります。他方,近年,クワの実が郷愁を呼ぶ果物として,注目を浴びてきてもいます。
■木材としてのクワ
クワの木質はかなり硬く,磨くと深い黄色を呈して美しいので,しばしば工芸用に使われます。しかし,銘木として使われる良材は極めて少なくなります。特に良材とされるのが,伊豆諸島の御蔵島や三宅島で産出される「島桑」であり,緻密な年輪と美しい木目と粘りのあることで知られます。江戸時代から江戸指物に重用され,老人に贈る杖の素材として用いられました。国産材の中では最高級材に属します。
また,古くから弦楽器の材料として珍重されました。正倉院にはクワ製の楽琵琶や阮咸が保存されており,薩摩琵琶や筑前琵琶もクワ製のものが良いとされます。三味線もクワで作られることがあり,特に小唄では音色が柔らかいとして愛用されましたが,広い会場には向かないとされます。



