船籍って何?
- 公開日
- 2017/08/25
- 更新日
- 2017/08/25
社会科お役立ち情報
夏休み中は、社会科に関係のある雑学を紹介しています。
私たちに国籍があるように、船舶には「船籍」 があります。
日本の海運企業が外国航路に運航する商船は、かつてその多くが日本船籍でした。
しかし、日本船籍の船は1985年には1,028隻 あったものが、2007年ではなんと91隻 に減少しました。2015年には197隻 まで回復しました。
出典 日本船主協会 日本籍船/外国用船別船腹量推移
https://www.jsanet.or.jp/data/pdf/2016data40-1.pdf
船の数が減ったわけではありません。
「便宜置籍船」 にしていったのです。
日本船籍を取るためには、乗員が日本人でなければいけません。また、会社も役員の3分の2以上が日本人でなければいけないのです。
しかし、日本人乗員は人件費が高くなります。
そこで、パナマやリベリア、バハマ、キプロス などに船籍を移すのです。
これをオープンフラッグ といい、その船を便宜置籍船というのです。
メリットは、船主に税金が課せらない ことです。
船舶登録料は必要ですが、収支に応じた法人税はかからず、収支の報告義務もありません。
何より、乗員を外国人にすることも可能です。
日本は、パナマなどからの用船(ようせん・外国などから船を借りてくること)も含めて、船会社が運航している外航船(「日本商船隊」といいます)は2000隻もあります。
日本は、実質的に世界最大の海運国といえます。
パナマについて調べてみました。
パナマは、あのパナマ運河のある北米と南米の間の国で、人口はわずか400万人なのに対して、世界中の2,000総トン以上の船舶の66%を保有しています。
パナマ船籍を取る方法は、パナマ国内に弁護士を置き、登録船舶を管理する会社を設立します。
外国の船主は、パナマ船籍の船を借りて運用するという形式を取るわけです。
また、パナマには世界の主要な銀行が集まっていることから、船を担保とした融資も受けやすく、さらに、士官、乗組員を含めた全乗組員の10%がパナマ人であればよく、他はどこの国の人でも構いません。
日本人に比べて、人件費は4分の1で済むそうです。