【校長日記】ウィンナ・ワルツの魅力
- 公開日
- 2016/04/05
- 更新日
- 2016/04/05
校長日記
昨日の演奏会で、最も象徴的だったのは、ヨハン・シュトラウス2世の「春の声」でした。
ウィンナ・ワルツの特徴がよく表れていたからです。
そもそも、ウィーン・フィルは、生粋のウィーン子、もしくはウィーン音楽院出身の演奏家しか採用しません。時々、ウィーン音楽院教授の別の学校出身の教え子が入ることもありますがあくまでも例外です。
女性はいませんし、楽器もオーストリア製を貸与します。
それは、いわゆるウィーン・フィル奏法を守るためです。
そのウィーン・フィル奏法の一つがウィンナ・ワルツでのリズムの「訛り」。
ワルツというと3拍子ですが、ウィンナ・ワルツは1拍子です。
普通3拍子の音楽は3つの音の間隔が均等です。しかし、ウィンナ・ワルツでは、1拍目と2拍目の間が短く、2拍目と3拍目の間が長いのです。
それは、ニューイヤーコンサートの様子を見ているとよくわかります。YouTubeにもありますのでぜひご覧ください。
例えば、2006年のマリス・ヤンソンス指揮の「春の声」です。
https://www.youtube.com/watch?v=FcmAim-S5SI
おわかりですか?
しかし、昨日の演奏は、これ以上に訛っていました。3拍目をより遅くしたのです。
一般に、大編成よりも小編成の方が曲の個性が出やすいのですが、昨日はまさにそれ。
マリス・ヤンソンスもウィーン国立音楽アカデミーに留学していますので十分ウィンナ・ワルツを理解しているのですが、昨日はそれ以上に表現力がありました。
その秘密か?時折見せたクラのペーター・シュミードル博士と2ndバイオリンのマチャシチックさんのアイ・コンタクト。
3拍目の訛りをリードしているのはこの2人なのでしょうか?
それに、ビオラのペーター・サガイシェックさんが合わせます。
その上に、ペーター・ヴェヒターさんがおしゃれに歌います。
「訛り」といっても、おしゃれで、しかも粋なのです。
楽器で楽しんでいるという感じです。
質問コーナーで、チェロのロベルト・ナジさんが、「言葉で表現できないものを楽器を借りて表現している」とおっしゃいましたが、まさにその通り。
昨日のコンサートでは、ウィンナ・ワルツを十分に堪能することができました。