「教授に関する事項」−1−
- 公開日
- 2018/08/24
- 更新日
- 2018/08/24
布袋の歴史
和室の押し入れから発見された古い文書綴の一つ『布袋尋常高等小学校 大正元年11月改 施設一覧』の中から、「教授に関する事項」を3回にわたって紹介します。
どうぞご覧ください。
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教授に関する事項
1,教授の方針
児童の実力養成に注意し、あえて教授の形を求めず。
児童の自己活動を重んじ、自動的に学習せしめんことを奨励す
2 教授上、特に注意すべき事項
十分なる準備をすべし
教授の要点を把握すべし
既習の知識を反復練習すべし
前後相連関せしむべし
道徳に関する事項はこれを重んずべし
教授したる後に於いて、その結果を反省すべし
3 教授上の統一
1 教科研究会 各科教授の主義方針および材料の方法等を講究す
事業 研究報告会、実地授業批評会
2 他学校参観報告会 職員の報告に基づき研究す
3 他学級参観 平素自己の課業なき時間に他学級を参観す
4 教材打合会 1週1回 全学年担任者相会し、教材の打ち合わせをなす
5 教案 日々調整して教務部長および校長の検閲を受く
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とても興味深い記述が並びました。
大正自由教育運動という、画一的で型にはめたような教育のスタイルから、子どもの関心や感動を中心に授業を組み立てるスタイルに変わるのが1920年代からです。
しかし、大正元年(1912年)に、すでに「あえて教授の形を求めず」「児童の自己活動を重んじ」など、大正自由教育運動につながる教育が、ここ布袋で行われていたことに驚きます。
他の教科研究会、研究報告会、他学級参観など、今と変わらないことがこの頃にすでに確立していたことに、日本の教育のレベルの高さを感じます。
明日に続きます。