ありがとうの本より
- 公開日
- 2019/01/31
- 更新日
- 2019/01/31
そのほか
警備員さんへ
夏の夕方。幼い娘が胃腸風邪をひき、小児科を受診した。帰り道、娘は「痛いよー。熱いよー。」としんどさを訴えて、泣き叫んだ。駅前は帰宅ラッシュで、すれ違う人々が何事かと私達を見ている。小学生の女の子を連れた母親が、迷惑そうに私をにらんだ。私はにらみ返した。数年前まで同じような状況だったはずなのに。幼い子どもの大変さを知っているはずなのに。心がトゲで満たされそうになった時「暑いもんなぁ、つらいよなぁ。」と、おっとりした声がした。見ると警備員のおじさんだった。騒ぐ娘を拒否せず受け入れてくれた言葉に、私の心はスっと落ち着いた。「本当に暑いですね。」と返しながら、お礼をこめて頭を下げた。
神奈川県 37才 女性