漢字の指導について考える
- 公開日
- 2006/09/07
- 更新日
- 2006/09/07
授業
9月6日に,5年3組の国語の授業を参観した。
授業のはじめは,漢字ドリルを使っての学習であった。
教師は,一画ごとにゆっくりと,“イチ・ニー・サン・・・・・”と唱えながら,黒板に「銅」という字を書いていく。子どもたちはいっしょに空書きをする。
次に子どもの方を向いて顔を見ながら空書き(※これをやるにはいくらかの技術を要する)をする。子どもたちもいっしょに唱えながら空書きをする。このとき教師は,全員が正しく書けているか確かめている。
続いて,子どもたちだけで唱えながら空書きをする。
ここまでできてから,漢字ドリルを見て,人差し指でゆび書きを3回行う。
最後にやっと鉛筆で書く。なぞり書きで2回,自力で2回書く。
もう一度この指導過程をふり返ってみる。
1回目は,教師が見本を見せる。子どももその見本を見ながら空書きをする。
2回目は,子どもと教師が向き合って空書きをする。
3回目は,子どもが自力で空書きをする。
2回目と3回目には,子どもも声を出して唱える。教師は,全員の子どもができているかを目で確認している。
ここまでは一斉指導。
次に個別の作業になる。
4・5・6回目が,ゆび書きによる練習。
7・8回目が,鉛筆を使ってのなぞり書き。
9・10回が自力での記入。
合計10回の練習をしている。
早く終わった子は,机の上でゆび書きを繰り返す。
スモールステップで進んでいくので,子どもたちは全員が取り組めている。
繰り返しではあるが,「空書き」「ゆび書き」「えんぴつでのなぞり書き」「えんぴつ書き」と変化に富んでいて飽きない。
調子よくみんなで進んでいくので,終わりまで続けられる。
もし,これを自分だけでやるのだったら,すぐにいやになってしまうだろう。
学校という場で,みんなといっしょにやるから楽しくできるに違いない。
このようなやり方で,「鉱」「版」「銭」という漢字も練習していたが,子どもたちは何を,どんな順番でやるのかが分かっている。一回一回やることがはっきりしている。だから,安心して,きわめて安定した雰囲気で学習している。もし,発達障害の傾向のある児童がいても,安心して取り組んでいけるだろう。
たかが漢字の指導とはいうけれど,全員の児童が参加できるようにするには,このような工夫が必要だと納得して参観させてもらった。(長瀬好文)