朝礼より 【いつまでも忘れられない「やめろ」の一言】
- 公開日
- 2013/02/04
- 更新日
- 2013/02/04
校長メッセージ
今日は先生の小学校の忘れもしない思い出を聞いてください。
小学校5年生の夏でした。いつものようにみんあでお宮に集まり遊んでいました。お宮ですのでセミがジージー鳴いていました。セミは大人になって1週間しか生きられないよと先生から教えてもらっていました。その間に結婚して、子孫を残すのです。
お宮には僕たちのほかに保育園の子がおじいちゃんに連れられて遊びにきていました。その時です、セミの悲しげな鳴き声を聞いたのです。セミが敵から逃げる時に使うギィーという鳴き声がなんと虫かごから聞こえてきたのです。見れば虫かごはセミだらけでそれでもおじいさんはこどものためにどれだけでもセミを捕まえています。セミはカゴに入れて飼えないことは知っていました。あすの朝には全部死んでいると思った私はどんどん押さえきれない何かが湧いてきました。
ついに、自分の中にわいてくる感情が抑えきれなくなり、おじいさんのところに走りだしました。走り出している自分が何をしようとしているか自分でもわからないくらいの気持ちでした。そして言ってしまいました。
「やめろ!逃がしてやれよ!」
おじいさんはこんな小学生から言われて、少しムッとした顔で無視をし、またまたセミを取り始めました。私は虫カゴを奪い取ろうとしました。でもいくら、おじいさんにでも子どもの力ではかなうものではありませんでした。そしておじいさんは
「うるさいわ」
と一言いいました。その後、おじいさんと保育園の子はたくさんのセミをかご入れ、お宮を去って行きました。
私が年寄りの人とけんかした最初で最後のことです。妙にこの年になっても忘れられないできごとでした。
「やめろ!」と言ったあの言葉、いつまでも忘れません。