何十年も遅くなった「卒業おめでとう、よく頑張ったね」
- 公開日
- 2013/02/17
- 更新日
- 2013/02/18
校長メッセージ
「もらったハンカチ今も大切に持っています」
忘れもしない、私が中3の担任をしている時の話です。一人の女の子を昼間働いて夜勉強する学校に送り出しました。この会社は全寮制で、昼間は繊維関係の仕事で、夜に敷地内の高校に通うのです。4年間無料ですが、もちろん会社の給料から引かれてのことです。朝の7時から3時まで働き、それから学校へ行くのですがまだ15歳の彼女にはとても大変なことでした。
「先生、もう辞める」
連絡を受け、日曜日に慌ててに寮に出かけました。「がんばれよ」と声かけるのが精一杯でした。それからのことはわかりませんでした。
それから月日が経ちました。なんと彼女は保護者として私の前に現れました。
「先生、もらったハンカチ大切に持っています」と言うのです。
聞けば、その寮を訪れた時、お菓子と一緒にハンカチを置いていったというのです。すっかりそのことは忘れていました。「そのハンカチ見て頑張りました」と言う彼女に思わず昔のことが思い出されました。いつまでもたっても担任と生徒の関係です。大人になったなった彼女に「よく頑張ったね」と大変遅くなりましたがねぎらいの言葉を贈りました。