「すき焼き」のすきは、「鋤」のこと
- 公開日
- 2017/04/26
- 更新日
- 2017/04/26
そのほか
すき焼きは、好みの具を入れて煮込むから「好き焼き」というわけではない。好き焼きの「すき」は、もともと農具の「鋤」のことなのである。
200年ほど前、大坂で出版された「素人庖丁」という書物によると、鋤は火にあぶって、よく焼いてから油をかけ、その上に、3枚におろしたハマチを並べて焼くと書かれている。当時は、獣肉は食べなかったので、魚を焼いて食べていたのである。
牛肉を鋤焼きにして食べたのは、安政元年(1854年)、ロシアの使節、プチャーチンが、長崎に入港した時が最初だという。
この鋤焼きが発展し、今のようなすき焼きを食べさせる店が横浜に登場したのは、明治2年(1869年)のこと。やがて、東京にも、すき焼き店が相次いでオープンした。これらの店は、新鮮な肉が「今すぐ」食べられるという意味で、今金、今半など、屋号に「今」という字を入れた。
現代でも、すき焼きの店に「今」という字を使う店が多いのは、このためである。