学校日記

一杯のかけそば

公開日
2015/11/23
更新日
2015/11/23

校長室から

一杯のかけそばという話があります。栗良平さんによる作品です。

大晦日の晩のことでした。閉店間際(まぎわ)のそば屋に子供を2人連れた貧しそうな女性が現れるのです。どうしてもそばが食べたいと母親が言い、慌ただしく、やっと仕事を終えたと思った店主は仕方なく母子を店内に入れたのです。母親は「かけそばを1杯頂きたい」と言ったのです。主人は『一番安いかけそばを、しかも3人で1杯とは、よほど苦しい生活を・・・』と思い、内緒で1.5人前のそばを出してあげたのです。そして母子は出されたかけそばをおいしそうに分け合って食べたのです。

一杯のかけそばの話を実はここで終わってないのです。実は本当に読んで頂きたいのはここからなんです。ここで書いてしまうと違法になるかと思いますので多くはかけませんが、本当は悲しみのまま終わる話ではないのです。

何故に母子はかけそばを無理して食べに行ったのでしょうか。、実はこの母子は事故で父親を亡くしてみえたのです。大晦日の日に父親の好きだったこの店「北海亭」のかけそばを食べに来ることが年に一回だけの贅沢(ぜいたく)だったのです。

私たちの会話の中でよく出てくる一杯のかけそばですが、貧しさゆえに、1杯を家族3人で分け合ったまでは多くの方が知ってみえるのですが、最後の話はどうなったかは知っている方が少ないですよね。