学校日記

“先生”と言われるまで20年かかりました

公開日
2016/10/22
更新日
2016/10/22

校長室から

いつの日か、「すぐに謝罪の言葉を期待するな」と書きました。一人の生徒が卒業式前に「先生・・・」と言ってくれるまで1年かかったと書いたのですが、今日は20年の話です。

昭和58年、59年、日本中、校内暴力が吹き荒れました。勤務する学校にも不良グループと言われる授業も受けない、好き勝手なことをやるグループがありました。当時は学年セクトが強すぎて、他学年のことはわからず、何事が起きたかと驚き、気が付いた時は大変な状態でした。

それからは毎日、大変でした。何しろ法律は自分という生徒の集団ですから、心底、怒れてきました。それでも愛情は注いでやらなくてはと思い、暴動を起こした日は深夜に浜松湖まで数人乗せてドライブし、海岸で諭したこともありました。

それでも、最後の最後までわがまま放題で卒業式を迎え、卒業していきました。卒業後は不思議な事に一度も学校に来なかったです。

それから、何十年もしたある日のことでした。ある神社にお参りに行った時です。出店の中から「先生」と呼び止める声がしたんです。振り向くとあの毎日、にらみあった生徒の一人でした。お好み焼きを焼いていました。なんと隣にもあの時のグループの一人がいました。
「先生、これ持っていってください」とお好み焼きを3枚包んでくれました。

それから何度も話す機会があり、彼も出世していくのです。金のとりまとめ役や出店の配置の指示、さらにはスナックまで持つようになり、「先生、俺の店で飲もう」と言うのです。立派に税金を納めるまでになっているではありませんか。

何年かかったのでしょうか。あれだけにらみ合った生徒が、「先生」と言ってくれるまで。この“先生”という言葉の中にどれだけの想いが入っているかは他人にはわからないかもしれませんが、20年、彼から「先生」と言ってもらえるまで20年かかりました。謝罪?謝罪なんてないです。“先生”それが彼の謝罪だと思います。(笑)

※写真は彼と20年ぶりに会った神社です。