「校長式辞」
「最高学年となった今年度の皆さんの活躍は、とても頼もしく、下級生や地域に誇れるものばかりでした…」
6年生の活躍について触れ、最後には「感謝すること」の大切さについて説いてくれた。
様々な人、こと、ものに「感謝すること」を大切にし、これからの道を歩んでいきたい。
2015.3.20 卒業式校長式辞
厳しい寒さから解き放たれるかのように、校庭の木々が芽吹き、日、一日と春らしさを感じる頃となりました。
本日は、公私ご多用のところ、多数のご来賓の皆さまのご臨席を賜り、卒業式を挙行することができました。高いところからではございますが、厚く御礼申し上げます。ありがとうございます。
保護者の皆様、お子様のご卒業、誠におめでとうございます。ここに至るまで、ひとえに我が子の成長を願って、精一杯、育ててこられました保護者の皆様方には、心よりお祝い申し上げます。
そして、本日、古知野北小学校を巣立つ69名の皆さん、ご卒業、おめでとうございます。
たった今、世界に一枚しかない卒業証書を手渡しました。折しも今年度、世界遺産の一つである「無形文化遺産」に登録された「美濃和紙の手漉き」の技術で、この秋に、自らが心を込めて漉きあげたものに、名前を入れた卒業証書です。まさに、世界にたった一枚しかないものです。さわやかな返事と、晴れやかな笑顔は、その卒業証書を受け取るにふさわしい、堂々としたものでした。
さて、「輝く笑顔」という言葉がぴったりの皆さん。六年間、誰もが元気よく通うことができました。
特に、最高学年となった今年度の皆さんの活躍は、とても頼もしく、下級生や地域に誇れるものばかりでした。
「ABCを大切に」という合言葉でスタートした4月。「A:当たり前のことを B:ばかにしないで C:ちゃんとやる」。皆さんは、この3文字に凝縮された言葉を誰もが心がけ、輝く笑顔と共にさわやかなあいさつを響かせ、時間を守り、環境を整え、当たり前のことを愚直に続けながら、学校生活を過ごしてきました。おかげで、未来を生き抜くための基礎となる根を伸ばし、皆さんの心の幹を太くすることができました。
その成長した根や幹は、2学期の合言葉である「全力児童」にふさわしいものとなりました。「運動会」や「かがやき学芸会」で、涙さえ誘う、多くの感動を与えた「全力ぶり」は、間違いなく、これからの古北っ子の目指す姿を下級生に伝えてくれました。
そして「整える」の合言葉を掲げた3学期。「立つ鳥跡を濁さず」の言葉通り、これまで以上に心を込めて毎日の掃除に励み、校内を隅々まで磨くと同時に、自らの心も磨き上げることができました。
素直で、和を大切にし、69人が仲良く過ごしてきた姿、自分を厳しく律し、様々なことに全力で取り組んできた姿。まさにそれらの姿は、「『春の風』のように穏やかな心で人に接し、自分には、「秋の霜」のように鋭く厳しい心で律していかなければならない」という意味を表した、江戸時代の教育者である佐藤一斎が残した「春風を以て人に接し、秋霜を以て自ら粛む」という言葉が、とてもよく当てはまります。
そんな皆さんには、今後、今まで以上に、「感謝すること」を大切にしていってほしいと思います。
4年前の3月、私たちは体験したことのない震災を目の当たりにしました。あのとき、被災された方や被災地のためにと、多くの人が自分のできることを行いました。被災地の方は、そんな善意に、多くの感謝をしていました。しかし逆に、私たちは、当たり前の生活ができることがどれだけ幸せなのかを知ることができ、そんな幸せに感謝することこそ大切であると感じました。
また、世界には、銃弾を受けても生き延び、世界中の子ども達や女性が教育を受ける権利について語った、今年度、ノーベル平和賞を受賞したマララ・ユスフザイさんがいました。そして、皆さんが朝礼で見た「世界の果ての通学路」のように、何時間もかけて学校に通う子ども達がいました。どれも私たちにとって当たり前のことであり、「足を知る」ことができ、そんな生活に感謝することこそ大切であると感じたことでしょう。
皆さんは、これまで、家族や地域の方々をはじめ、実に多くの人たちの手によって支え、見守られながらこの日を迎えました。そして、そのことはまだしばらく続いていきます。
人は一人では生きていくことができません。そして、「当たり前」と思っていることは、実は、とても特別なことのように思います。
ぜひ、様々な人、もの、ことに「感謝すること」を大切にし、これからの道を歩んでいってください。
結びとなりますが、本校の教育活動に対し、常に、温かいご支援ご協力賜りました多くの皆様に、深甚の敬意と感謝を申し上げますと共に、本日お集まりの皆様方のご健勝と巣立ちゆく皆さんの輝かしい未来の確かな飛躍を祈念いたしまして、式辞といたします。
平成二十七年三月二十日
江南市立古知野北小学校長 水谷政名