【校長日記】 流氷の伝言−1−
- 公開日
- 2015/06/09
- 更新日
- 2015/06/09
校長日記
日曜日に行われた「流氷の伝言−アザラシの赤ちゃんと地球温暖化−」と題された小原 玲 氏の講演の内容を簡単に紹介します。
(画像使用の許可をいただいています。)
ここでいきなり問題です。
アザラシの赤ちゃんと地球温暖化は大きな関連があります。なぜでしょうか?
ここを理解しないと、本質に迫れません。
ヒントは、「北極海の流氷」です。
実は、北の海で暮らすアザラシの多くは、流氷の上で出産をします。
なぜなら、シロクマやシャチといった天敵がいないからです。
シロクマは流氷がつながるときにはやってきますが、できたばかりの時にはいないのです。
そのアザラシは、2週間は母の母乳で育てます。丸々と育ちます。
10日目ぐらいには泳ぎも教えますが母の仕事はそこまで。赤ちゃんの元を去っていきます。
次の2週間は、何も食べません。流氷の上で鳴いているだけです。
だんだん痩せていき、体が動きやすくなります。
そこで、初めて、自分で魚を捕るようになるのです。
すなわち、ある程度のおおきさの流氷が4週間は必要なのです。
しかし、地球温暖化のため、流氷が小さくなっているのです。
そして、泳ぎを覚える前に溺れてしまうのです。
2002年には、70万頭の赤ちゃんのうち、約50万頭が溺死したと推計されていいます。
小原さんらが、一つの生き物を20年以上追い続けてわかったことなのです。
これは、シロクマも同様です。
このまま温暖化が進めば、シロクマの生活圏もなくなってしまいます。
絶滅が危惧されるのはそのためです。
6月8日の朝日新聞社説に、南太平洋の国 キリバスの大統領が訴えています。
「(温暖化による海面上昇のために、)我々は自分の国に住み続けるのが難しそうだから、日本で受け入れてくれないか。例えば、日本で人手が足りない看護・介護分野ではどうか——。」
キリバス国民の「尊厳ある移住」を求めているのです。
先進国による温室効果ガスの排出により、北極などの氷が溶けて、島国のいくつかが水没の危機を招いているのです。
続きます。