【校長日記】 「尊きいのち みつめて」
- 公開日
- 2016/01/21
- 更新日
- 2016/01/21
校長日記
本日、第2回学校保健安全委員会を開催しました。講師は、心理カウンセラーの佐藤逸代先生です。
佐藤先生は、平成17年に、二女の有希さんを交通事故で亡くされました。当時中学校1年生で、部活動の先輩の試合を応援に行く途中でした。赤信号で待っている所へ、信号無視の車に追突された車が飛んできてとばされたのです。
私が、強く印象に残った部分を一部紹介します。
事故から母としての苦しみが始まりました。自分が嫌いになったとも言われました。
と同時に、姉も、妹も同時に苦しんでいることを知りました。
妹が、姉との別れから1か月後に、チラシ広告の裏にボールペンで走り書きをしていました。そこには、詩が書かれていました。母とは違う苦しみと闘っていたのです。
命を大切にしなきゃいけない。せっかく神様がくれたのだから。どんなにつらくても、苦しくても、命を大切にしなきゃいけない。
あなたは一人じゃない。みんな一人じゃない。みんな支え合って生きている。大切な人をずっと大切にしよう。なくさないために。
命っていうのはね、一人に一つしかないの。だから、今の自分を思いっきり好きになろう。忘れないで、大切な人はすぐそばにいることを。
死にたいなんて言っちゃだめ。死にたくなんかないのに、病気とか事故で亡くなる人だっているんだから。
長女は告別式の翌日から学校や塾へも行きました。姉妹と親ってこんなに違うのだな、と思ったものですが、そうではなかったのです。
今までニュースなどで事故の話などを聞いて、身内がいなくなったことを何度も想像したことはありました。それでわかった気になっていたけれど、現実はそれほど甘くなくて、想像をはるかに超える悔しさ、苦しみ、悲しみ、絶望感でした。この気持ちが、加害者や身内を亡くしたことのない人に理解できるとは思いません。なぜなら、私も理解できなかったからです。
一人が交通ルールを無視したことにより起こった一瞬の事故。これが家族の幸せを奪いました。
特に母はひどく落ち込んでいて、今までに見たことがないような状態だったので、家族の中で私だけでも強くいないと、家族が本当に壊れてしまうと思ったからかもしれません。
「泣かないことでしか自分を守れない」という悲壮な決意で、姉も自分と闘っていたのです。
母として、妹として、姉として、交通事故被害者家族のそれぞれの苦しみを語っていただきました。
そこで見えてきたものは・・・。
スタートは自分。自分のことを思いやっていないと、人の気持ちは分からない。
自分を好きになれない人は、人を好きになれない。
自分への思いやりを大切にしよう、ということでした。
有希さんは、お母さんに最後の手紙を残していました。
「いつでまでもその笑顔でいてください。ずっとずっと大好きだよ」
佐藤先生にとって、本来なら思い出したくない話だと思いますが、交通事故被害者遺族の苦しみを世に伝えるために、「あいち交通犯罪ZEROの会」を立ち上げ、活動しておみえです。
今日のお話は、いのちの大切さ、そして家族について、あらためて考えるとてもよい機会となりました。
佐藤先生、ありがとうございました。
児童は何を感じたのでしょうか・・・。明日以降、児童の感想を紹介します。