朝礼より 【友を傷つけた言葉】
- 公開日
- 2012/05/07
- 更新日
- 2012/05/07
校長メッセージ
朝礼を体育館で行い、校長より以下の話がありました。
高校時代の心ない恥ずかしい話を聞いてください。
高校時代は給食がなく、みんなは毎日お弁当をお母さんにつくってもらいもっていきました。高校は好きな仲間でごはんを食べるのです。クラスの中に比較的、人気者のS君がいました。高校2年で盲腸になり、それ以来あだ名は「ジョリ〜」と言われていました。そのジョリー君は、いつからか一人で食べるようになりました。そして、いつもお弁当にたまご焼きをもってくるのです。いや、よく見ると、卵焼きだけでほとんどおかずの部分を占めているのです。次の日も次の日も・・・。
周りのみんなは、
「おい!今日も玉子だけだぞ」
「よっほど玉子が好きなんだ」
とささやくようになりました。
そして、あだ名は「玉子焼き」になりました。
ある日、病気など1回もしたことがないS君が学校を休みました。そして、朝のホームルームの時間、担任の先生から悲しい話を聞きました。「S君のお母さんは病院に入院されていましたが、昨夜、亡くなられました」と。
みんな驚きました。いつも明るく、そんなこと一言も言わなかった彼でした。そして、とんでもないことを言っていた自分を悔やみました。
あのお弁当はお父さんが毎日彼にもたせたものか彼が自分で作ったものだと誰もがわかりました。彼にすまない気持ちで一杯でした。なんと恥ずかしいことをみんなで言ってしまったのだろう。「卵焼き」と言われるたびにどんな気持ちになったのだろう。その時、母さんのこと思い出していたんだろうなと思いました。おそらくみんな一緒の気持ちだったと思います。
みんなで葬儀に出ました。何も語らず彼の家を後にしました。高校2年の苦い思い出です。
あれから何十年と経ちました。あやまる機会がないままに今日まできました。いつか、彼に謝りたいとずーっと思っています。
人を傷つけるようなことはもう言いたくないと思った17歳の秋でした。