無塗装車両
- 公開日
- 2014/06/20
- 更新日
- 2014/06/20
校長室から
この一学期は、電車に乗って名古屋などへ会議に出ることがたびたびありました。
そんな中、最近感じるのは、名鉄も、首都圏の通勤車両のように、ステンレスの銀色のボディの電車が増えてきたな、ということ。
名鉄と言えば、古くはパノラマカーに代表されるような「名鉄スカーレット」と呼ばれる赤い車両カラーが印象的ですが、その赤も、ステンレス製の車両には、赤い帯フィルムを貼ってあるだけです(写真は、地下鉄鶴舞線を走る名古屋市営地下鉄3000系ですが)。
では、なぜ銀色のままの無塗装ステンレス車両が増えているのでしょうか。
それは、昔の車両は、鋼製で、錆(さび)から守る必要があったため、塗装を必ずしなければなりませんでした。しかし、色あせやはがれなどで、早ければ2年ほどで再塗装をしなければなりません。しかも、きちんと塗装するには、塗料を一度はがさなくてはならない場合もあり、そのはがした塗料の処理もしなければなりません。塗料の費用、処理の費用、点検や塗装の際の人件費、また塗装した分の重量増がエネルギーの無駄を生みます。
そこで、着目されたのが、ステンレス製の車両です。まず錆がつくことがありません。そして、車両も複雑な形にする必要がない通勤車両は、加工が難しいステンレスでも対応でき、なおかつ大量に生産する車両であるため、材料費は少々高くても、塗装等のランニングコストを考えれば、十分にコスト削減につながるのです。
ちなみに、新幹線など複雑な形をしている車両は、加工がし易いアルミニウム製が多いです。現在は、はがれにくい塗料で、車体のひずみによるはがれもないような高い剛性の車両になっているようです。
以上、今日は、少しマニアックなお話でした。
しかし、「たかが電車の塗装」からも、日本の様々な技術革新や、経済に関する知識が身につきます。
何事にも「何でだろう」と思い、調べてみることが大切ですね。