2014.10.5 「子供の脳と学び、大人ができること」
- 公開日
- 2014/10/05
- 更新日
- 2014/10/05
校長室から
少し前になりますが、9月24日、「豊かな教育を創造する県民会議」主催の「父母と教師の教育を語る会」に出席し、脳科学者の茂木健一郎さんの講演を聴きました。
演台のマイクを外すと、マイクを持ちながら、身振り手振りを交え、約2時間という時間を一気に話し続ける茂木さん。演題は見出しの通りですが、大人が子どもたちにどう関わっていくかよいかを、専門分野である脳の働きを交えながら話をしていただきました。
ここでは、印象に残ったフレーズを紹介します(文責・校長)。
・「学ぶこと」ができるのは、人間にとって、一番素晴らしいこと。
・いわゆる「五教科」の学びだけではなく、コミュニケーションによる社会的な学びなど、色々な学びがある。
・個性は長所と短所があるかもしれないが、それは簡単には決められない。例えば、一つのことを始めると切り替えられない人がいたとする。しかし、それは長所であり、短所にもなる。「オタク」は、一つのことを徹底的に掘り下げる。それが長所である。しかし、脳科学的にもコミュニケーションを取る事が苦手なのが分かっているが、それが短所。
・子供の個性はかえがえのないもの。困ったところもあるかもしれないが、いいところもある。どう向き合うかが大切。
・トムクルーズは、失読症だが、世界的な俳優として成功している。勉強ができるかどうかではなく、個性を生かせた。
・学力に関係なく、個性を生かせるネットワークをもてるとよい。
・子どもたちに大切なことはチャレンジ。できたときにドーパミンが出る。子供の脳はその連続。ドーパミンが出て、脳が強化されていく。
・私(茂木さん)自身、低学年の頃、できないことにチャレンジして乗り越える習慣が身についた。それがよかった。
・中高生としゃべっていて感じることは、「チャレンジしていない」ということ。できないことをチャンスと思えない。できないのは、ドーパミンを出すチャンス。チャレンジしてみる子はいい子。
・アンチエイジングの視点からもドーパミンは大切。「人生早いな」と思う人は、ドーパミンが出ていない。初めてのことをしていると、脳は時間を長く感じる。
・大人は「できない」という劣等感をどう取り除いてあげるか。不屈の精神をもてるかどうかが大切。
・人間は雑談が大事。子供の頃から、雑談をすることで、人生に対する情報を得て、人生をシミュレーションしている。そういう意味で、先生の授業中の雑談も大事。家庭の雑談も色々な学びにつながっていく。大学の入試問題が解けても、雑談ができるコンピュータはない。人間にしかできないのが「雑談」である。
・家庭でどれだけ誉められるか。個性を認め、子供が「安全基地」を持てる場所をつくってあげる。褒めるタイミングが大切。何かをしたらすかさず褒める。
・ネガティブな経験を乗り越えられた子供は、素敵な人になる。
目の前で「今、三つ玉のお手玉にチャレンジしているんです」と、講演中に思い出したように、何度もチャレンジする茂木さん。先日、NHKの朝の連続ドラマにも俳優として出演しました。また、日頃から英語の勉強も欠かさないようです。このような旺盛な「チャレンジ精神」が、頭の良い茂木さんの頭をさらに良くしているのだと思いました。
子育てや教育のヒントをたくさん聴くことができました。