2015.6.7 奇跡のひと
- 公開日
- 2015/06/07
- 更新日
- 2015/06/07
校長室から
今日は、映画「奇跡のひと マリーとマルグリット」を見てきました。
「19世紀末、フランスに実在した“もうひとつ”のヘレン・ケラー物語」というキャッチフレーズの映画は、「見えない、聞こえない、話せない」という三つの重複する障がいをもった主人公「マリー」と、教育係の修道女「マルグリット」の二人の物語です。
公式ホームページの「イントロダクション」には、以下のように紹介がされています(本文引用)
聴覚障がいの少女たちが暮らす修道院に、目も耳も不自由な少女マリーがやってきた。教育を一切受けずに育ったマリーは野生動物のように獰猛で誰にも心を開かない。不治の病を抱え余命いくばくもない修道女マルグリットは、残された人生をかけてマリーに"世界"を与えるべく教育係となる。困難の末ついにマリーが言葉を知る日がやってくるが、二人の別れの時間は目前に迫っていた——。母のように惜しみなく愛を注ぎ、知識を分かち、命をつなぐ—。迫りくる死の気配を感じながらマルグリットがマリーに与えたのは「喪う悲しみ」より多くの「生きる喜び」だった。19世紀末、フランスポアティエ地方に実在したふたりの女性による感動のトゥルー・ストーリー。
「見えない、聞こえない、話せない」という三つの重複障がいと言えば、「ヘレン・ケラー」が有名ですが、ヘレン・ケラーの教育係だったサリヴァン先生とは、ヘレンが7歳の頃であり、以降50年に渡るつきあいがありました。しかし、本映画の教育係のマルグリットは、マリーが14歳の時に出会っており、それまで教育を一切受けず「まるで野生児」だったというのですから、その指導は大変だったと思います。映画では、その壮絶な二人のやりとりが丁寧に描写されていました。
また、驚いたのは、主人公のマリー役を務めた女優アリアーナ・リヴォワールは、本当に耳が不自由で、フランスの国立聾学校に通い、大学入学資格を取得した努力家だということ。困難なことを克服する姿勢に、自分の気持ちも引き締まるようでした。
そして、そんなアリアーナは、今回の上映で来日したときに、「普段は字幕がついているDVDを見ることが多いが、欲求不満になることがある」と明かし、「環境音も字幕で表現してほしい。情報がいっぱいほしい」と言っていたとのこと。耳が不自由な方が、日頃から、どれだけ不自由を強いられているか、ということを改めて知ることができました。
なお、今日の映画館には、手話を使われている方が観賞されていたり、受付で筆談をされている方がいたりしました。また、本映画は「視覚障がい」の方のために、劇場によっては、音声ガイダンスつきのバリアフリー上映がされるとのこと。
世の中が、環境的にも、文化的にもバリアフリー化が進むといいなと感じながら、劇場を後にしたのでした。
(※写真は、公式ホームページから引用しました)