学校日記

2015.8.4 明かり

公開日
2015/08/04
更新日
2015/08/04

校長室から

終戦70年の今年は、様々な角度から、当時の様子が検証されたり、語られたりしています。本日付(8/4)の中日新聞の「くらしの作文」にも、そんな戦争を体験された方の投稿記事が掲載されていたので、引用・転載させていただきます。 

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 夕方、いつものように散歩に出た。だんだん暗くなり、次々と家の明かりがともっていくのを見ながら歩くのが好きなのだ。
 忘れもしないあの日は、お盆の15日だった。母が作った塩あんのおはぎを、知り合いに届けに行くお使いを頼まれた。
 届け先で「陛下のお声を聴いて帰る?」と尋ねられた。「帰ってから」と答えて引き返す途中、近くの路地から上級生の男の子が飛び出してきて言った。
 「戦争に負けたよ」
 とっさに判断できず歩き続ける私に、追い掛けてきた男の子は大声で言った。
 「今晩から電灯が明るくなるんだって」
 夜になって、電灯の下に家族が集まった。父が踏み台に上がって、儀式のように無言のまま黒い布を外した。
 そして、スイッチをひねるとパッと電灯がともった。明るい!昨夜まで畳の上にできていた小さな光の輪が、部屋いっぱいに広がった。
 息をのんで見ていた弟妹が部屋中を走り回って喜んだ。
 あれから70年。多種多様に照明が進化する中、私は家々のリビングから漏れる明かりに一番の幸せを感じる。
 「この明かりが暗くなることがありませんように」と願いながら、今夜も歩いている。(名古屋市・女性・79歳)
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黒い布で電灯を覆うのは、「灯火管制(とうかかんせい)」と呼ばれる、戦時中の照明の使用を制限するためのものです。夜間の敵機からの空襲を防ぐために行われていたもので、空襲警報が鳴ると、少しでも灯りが漏れることを許されず、協力しなければ、何を言われるか分からなかったとさえ言われます。戦争を知らない私たちには、想像しにくいものです。

こうして、昼夜を問わず灯りに囲まれ、平和に暮らせることがどれだけ幸せなことか。この機会に、大変な生活を強いられ、つらい思いをしてきた戦時中のことを学び、平和について考えてみるのもいいですね。

(※写真は、立命館大学国際平和ミュージアムキッズページより引用しました)