2015.11.11 「葉書」のルーツに出会う
- 公開日
- 2015/11/11
- 更新日
- 2015/11/20
校長室から
昨日、公民館の前を通ると、植え込みにある一本の木を指して、「校長先生、この木にかけてある『名札』がどうも違うようなのですが…」(写真左)と地域の方が声をかけてくれました。
その木には「ユズリハ」の名札がかけられていましたが、その方は、「ポケット植物図鑑」を取り出すと、「ユズリハ」の葉と、目の前の木の葉と丁寧に比べて説明をしてくださいました。
葉の縁がノコギリのようにギザギザしていないのが「ユズリハ」。ギザギザしている、その葉は「タラヨウ」という木(写真右上段)であることを知りました。
この「タラヨウ」という木は、実に興味深い木だったのです。
葉の裏に先の鋭いもので痕をつけると、みるみるうちに変色し、くっきりと痕が浮き上がってくるのです(写真右中段→下段)。その性質を利用して、古くは、子どもの手習いにこの葉を使い、文字の学習をしたというのです。
諸説ありますが、「葉書(ハガキ)」の語源は「葉に書く」ことに由来すると言われています。その昔、この「タラヨウ」という木こそ、その「葉書」として使われていたのです。
記録によれば、すでに戦国時代に、タラヨウの葉に文字を書いて手紙を送る習慣があったとか。
旧郵政省では、緑化推進を目指してこのタラヨウを「郵便の木」に指定し、郵便局のシンボルツリーとして、郵便局に植えられていることが多いと言います。そこで、「郵便局の木」「葉書の木」と呼ばれるのだそうです。
なお、この葉に宛名と、「たより」を書いて、切手を貼り、ポストに投函する「ハガキ」として扱ってもらえるというから驚きです(注※「定型外郵便」のため82円では送れません。また、小さすぎても送れません)。試してみたい、そんな気にもなりますね。
ちなみに、この「タラヨウ」という名前は、インドで経文を書くのに使われたヤシ科の「タラジュ(多羅樹)」のような性質から「タラヨウ(多羅葉)」の名がついたと言われています。
さっそく、名札を取り外し、現在、名札を修正中です。
地域の方のご指摘から、ずいぶんと知識が広がった「できごと」でした。