学校日記

2015.12.29 新元素発見!

公開日
2015/12/29
更新日
2015/12/29

校長室から

つい先日、理化学研究所が人工的に合成した「原子番号113番」の元素が「新元素」と国際的に認定される見通しになったニュースが報じられました。認められれば、アジアとして初めてのことになります。

すると、12月27日付発行の産経新聞のコラム「産経抄」に以下のようなことが書かれていましたので、掲載させていただきます。



 高校時代、水兵さんの世話になったことがある。顔も知らなければ、国籍も素性も知らない。〈水兵リーベ、僕の船、そっと曲がるシップス…〉。試験でこれをぶつぶつ唱え、教師に小突かれる同級生は多かった。▼水素(水)、ヘリウム(兵)で始まる元素記号の覚え歌は、受験生の心強い助け舟でもあった。文系の小欄は、20番目のカルシウムまで覚えて失礼している。原子番号は118まであり、覚え歌は世にいくらもあるらしい。それらの中に、日本の化学者が発見、命名にかかわった元素は、まだない。▼昔話に触れたのは、小川正孝の名を26日付の小紙で見たからである。明治41(1908)年、43番目の元素を見つけたとして「ニッポニウム」の名を付けた。発見は国際的には追認されず、後に「別の元素」と結論づけられている。▼75番目のレニウムと「ニッポニウム」が同じ元素だと分かったのは、かなり後のことである。レニウムの発見は1925年だった(『科学に魅せられた日本人』岩波ジュニア新書)。大魚を逃した小川の無念は、察するに余りある。▼日本科学界の悲願は目の前にある。理化学研究所の合成した113番の元素が、来年1月にも「新元素」の認定を受けるという。原子核同士を高速でぶつけることで、この元素は生まれる。理研が繰り返した衝突の回数は、100兆回を超えた。小川の遺志を継ぐ化学者たちの、執念の精華だろう。▼新元素の名称は「ジャポニウム」が有力という。もしかしたら、と思う。覚え歌に出てくる「水兵さん」は、化学という果てのない海原に挑んだ小川その人ではなかったか。泉下の人の労苦に思いをはせつつ、お世話になった〈水兵リーベ〉をもう一度、ぶつぶつ唱えてみる。


小川正孝さんのこと、ニッポニウムのことは知りませんでした。そして、元素を誕生させるために100兆回を超える実験の執念…。いくつかのドラマがあったことを知りました。

さて、まだ化学的な性質は分かっておらず、寿命は「1000分の1秒以下」と短い新元素。現在は「ウンウントリム(Uut)」という名前ですが、今後「ジャポニウム」となり、その性質が明かされ、何かに応用されることを期待するばかりです。

ちなみに、以前にも紹介したことがある(参照:2015.5.3 一家に1枚)、文部科学省が作成している「元素周期表」を見ると、上図のように「原子番号113番」には「日の丸」のマークがついていますよ。

※元素周期表のダウンロードはこちら↓
一家に1枚|科学技術週間(※ページを開くと、最下段にあります)