2016.3.8 常用漢字表の字体・字形と「守破離」
- 公開日
- 2016/03/08
- 更新日
- 2016/03/08
校長室から
2月29日、「文化審議会漢字小委員会」は、常用漢字で「とめ」「はね」「はらい」などで、細かな違いがあっても、誤りではないということを解説した指針案を報告しました。
ちょうど、2月29日の中日新聞夕刊にも、右図のような「字形の解説」が図と共に掲載されていました。
様々な「印刷文字」の普及によって、文字によっては少しずつ形が異なることから、相談が増えてきたというのが経緯だそうです。確かに、関係ホームページを見ると、その質問数の多さに納得します。
担当者は「学校教育では学習指導要領の漢字配当表の字形に沿って指導しつつ、他の字形でも良いということを知ってほしい」と話しているといいます(同日中日新聞夕刊記事より引用)。
しかし、個人的には、学校現場で混乱しないか、心配するところです。教室では、きちんと「とめ」「はね」「はらい」を確認しながら学習していくのですから…。
「守破離」という言葉があります。「デジタル大辞泉」には、以下のように解説されています(以下引用)。
剣道や茶道などで、修業における段階を示したもの。「守」は、師や流派の教え、型、技を忠実に守り、確実に身につける段階。「破」は、他の師や流派の教えについても考え、良いものを取り入れ、心技を発展させる段階。「離」は、一つの流派から離れ、独自の新しいものを生み出し確立させる段階。
これを上記の漢字の字形に当てはめると、まず「守」があって、きちんとした字形をマスターすることが大切です。義務教育の間は、意識したいところです。
そして、その字形が分かった上で、「とめ」「はね」「はらい」が変わってくる「破」の部分になるのでは、と思うのです。長い年月を生きていけば起こりえることでしょう。この「破」が今回の指針であるように思うのです。
さらに、書家の相田みつをさんのような独創的な字形は、まさに「離」です。しかし、相田さんも、もちろん、初めの書は「守」を大切にしていることが伝わってくる文字です。「守」→「破」→「離」と変わってきているのです。
いかがでしょうか…。
ということで、小学生の段階では「これぐらいいいのよ」とせずに、家庭でも、今一度、きちんとした字が書けるような指導のお手伝いをしていただけると幸いです。
※関係ページはこちら↓
■文化審議会国語分科会漢字小委員会(第22回)議事次第
※ページ数は多いですが、「なるほど…」と思える資料が盛りだくさんのPDFファイルはこちら↓
■常用漢字表の字体・字形に関する指針(報告)(案)