【校長日記】 興福寺五重塔が25円の理由は?−2−
- 公開日
- 2018/05/10
- 更新日
- 2018/05/10
校長日記
現在、子どもたちは入浴中です。先ほどの続きです。
興福寺五重塔が25円の理由は、廃仏毀釈運動 の被害に遭ったのです。
興福寺のホームページではどう語っているのでしょうか。
引用元 http://www.kohfukuji.com/about/history/04.html
(太政官布告によって)興福寺は所領を失い、最終的には堂塔の敷地のみが残されるという惨状となり、加えて宗名・寺号も名のれず、まさに廃寺同様の様相を呈した。
神仏分離の施策は廃仏毀釈につながり、寺の破壊や撤去が押し進められた。
興福寺では築地塀・堂宇・庫蔵等の解体撤去、諸坊の退転が相次いだが、…
もっと悲惨な例もあります。
天理市にあった内山永久寺は、法隆寺に次ぐ社格の大伽藍でした。
上写真は、大和名所図會です。
画像出典 http://shibayan1954.blog101.fc2.com/?tag=%E5%86%85%E5%B1%B1%E6%B0%B8%E4%B9%85%E5%AF%BA
※ このサイトは、内山永久寺についてとても詳しく載っています。おすすめ!
それが、今は跡形もありません。
航空写真で見ると、池の形が同じであることが分かります。
現在は、畑、ビニルハウスになっており、建物は破棄尽くされました。
現場は、天理大学図書館から、東へ600mほど歩いていったところにあります。
天皇の神格化のために、神道を重視したことは分かります。
それでも、数百年から千年以上も前の仏像や教典などを破壊する理由にはなりません。
まさにイスラム国やターリバーンと同じです。
価値が分からなかったのです。
いえ、西洋文明を知り、本来日本の文化が持っている価値を見失ってしまったのです。
明治維新当時、日本の陶磁器が大人気でした。
その陶磁器を包んだ紙、今なら新聞紙代わりの紙が、浮世絵(錦絵)でした。日本では、ゴミクズ同様だったのです。
それを見た人が気に入り、一気に欧米で浮世絵ブームが始まったのです。
日本国内の浮世絵(錦絵)が大量に国外に流出しました。
現在でも、優美品は、海外の美術館に行かないと見ることができません。
欧米の文化に憧れ、日本文化の良さを完全に見失ったが故に、仏像を壊し、五重塔を売りに出し、浮世絵を包み紙に使ったのでした。
これも日本人の(失敗の)歴史の1ページです。
同じ失敗を繰り返してはなりません。
※ Wikipediaでは、興福寺は250円で売られたと書かれています。
ここでは、『神々の明治維新 −神仏分離と廃仏毀釈−』安丸良夫(岩波新書)の25円説を採りました。