2015.09.10 筆や鉛筆書きは脳発達に良い
- 公開日
- 2015/09/10
- 更新日
- 2015/09/10
校長室から
9月7日付発行の「教育新聞」に、東京書芸協会会長川原世雲先生が書かれた連載記事「脳科学から手書き・書道の意義を考える」に、見出しのような興味深い記事がありました。ここに、引用し、紹介させていただきます(図も、同日付「教育新聞」より引用。
「手は外部の脳」といわれます。手は外界からの情報を察知し、それをコントロールします。(※中略)
皮膚は「露出した脳」ともいわれます。(※中略)皮膚は単なる膜ではなく、脳の機能も備わっているのです。
特に「手のひら」の感覚は鋭敏です。手をおおう皮膚は背面(背部)が薄く0.4ミリであるのに対し、前面(腹部)は0.7ミリと分厚くなっています。皮膚には感覚神経繊維の末端が集中しています。
文字を書く際に重要なのが筆圧を感知する能力、すなわち圧覚です。手にかかってくる圧を脳で的確に感知しなくてはなりません。書字の学習は、造形だけと誤解されがちですが、圧をコントロールする「リズム性」も書の重要な要素です。
毛筆を始めたばかりの生徒が一画書いては墨つぎをし、また一画書いては墨つぎをするのを見かけます。これではリズム性をもって書字をすることにならず、手を鍛える効果も低くなります。墨継ぎをせずに書けば、隅は徐々に少なくなっていきますし、それにしたがって手にかかってくる圧も変化していきます。脳はこの変化する圧を感知しながら、書字を行うのです。
これが筆ペンなら、自動的に墨が補給されるので墨つぎの必要はなく、脳の活動を促す効果は筆ほどありません。これは、鉛筆とシャープペンシルにもいえることです。鉛筆は徐々に先が丸くなっていきますが、シャープペンシルはボタンをノックすれば、常に一定の圧で書くことができます。便利なものですが、教育という脳を育む場では、筆や鉛筆を用いる方が脳の発達に良いでしょう。
「圧を考慮して、小学校(特に低学年)では、鉛筆がよい」ということは分かっていました。しかし、「墨つぎ」をキーワードにし、「筆と筆ペン」「鉛筆とシャープペンシル」というように、具体的に分かりやすく比較した理論は、初めて拝見し、大変勉強になるものでした。「小学校は鉛筆がよい」の理論は、ここにあったのか、と納得させられました。
しかし、書字にコンプレックスをもっている私は、キーボードがメインになりつつあり、恥ずかしながらそれ以前の問題のように思いました。
小学校の「書写」の授業の重要性がここに表れています。
古北っ子の皆さん、「鉛筆と筆」は、脳科学的にも、脳にいいのですよ!