学校日記

2015.10.23 来るべき南海トラフ大地震への備え

公開日
2015/10/23
更新日
2015/10/23

校長室から

昨日は、尾西地区学校保健大会という会合に参加しました。 
大会の記念講演は、名古屋掖済会病院(中川区)副院長・救命救急センター長の北川喜己先生による「東日本大震災時の災害派遣活動と、来るべき南海トラフ大地震への備え」というもの。
「DMAT」(災害派遣医療チーム「Disaster Medical Assistance Team 」の頭字語)として、派遣要請を受け、東日本大震災時に現地にて災害医療に従事した経験から語られるお話は、とても興味深く拝聴することができました。

「DMAT」と聴くと、少し前に、「関ジャニ∞」所属の大倉忠義さんが主演となり、ドラマ化されたので、ご存じの方もみえると思います。地域の救急医療体制だけでは対応できないほどの大規模災害や事故などが発生したときに、現場に急行する医療チームですが、なかなか大変な仕事です。

実際に、東日本大震災時には、いわて花巻空港を搬送拠点(SCU)として、北は千歳空港、南は羽田空港へと、傷病者を被災地から非被災地へ搬送し、治療に当たります。
このとき、北川先生は、災害発生の次の日に、渋滞する高速道路をパトカーに先導されながら羽田空港に入り、治療に当たったそうです。
自衛隊機を使って、傷病者を搬送しますが、生命維持装置など様々な機器をつけるため、多くの人数を運べることができないということを知りました。その数は4〜11人だそうです。それでも、一人でも多くの命を救うために、と、あらゆる関係機関が協力して、傷病者を迅速に搬送するのです。

もし、この地方に「南海トラフ大地震」が発生すると、同様な体制が敷かれるようですが、その時は、おそらく中部国際空港は津波等で使用できないことが予測されるため、県営名古屋空港や各務原の自衛隊岐阜基地や、浜松基地もSCUとなり、福岡、広島、兵庫、大阪、東京、千葉に搬送されるのだそうです。
しかし、最悪の事態を想定すると、愛・三・静の三県だけで約5万人を超える重傷者数が予想される大地震であるため、その搬送能力も超えそうだというのです。大変なことです。

また、石巻市立病院では、震災時の津波により、自家発電機、コンピュータサーバー、CT撮影機などが水没し、機能しなかったそうです。そこで、北川先生がお勤めの病院も、同じようなことが予測される中川区の病院であることから、発電機のかさ上げ、渡り廊下の耐震性の確認、エアーストレチャーの準備、井戸の造設など、浸水した後の機能継続ができるようハード面の点検・改善を徹底しているそうです。

本校では、浸水することはないと思いますが、建物の破損などはあるかもしれません。対応と備えについて、考えさせられました。

講演の最後には、心構えについてお話がありました。
いざ、災害が発生したら、まず、平時から「災害モード」に頭を切り替える「スイッチ」を入れてください、と。
そして、「指揮」(指揮・役割の明確化)、「安全」(安全確保)、「情報」(情報収集)、「報告」(状況評価と報告)、「要請」(応援要請)、「場所取り」(対策本部、診療場所の確保)をしてほしいとのことでした。これを、それぞれの頭文字をとって「すしあんじょう、ほうようばしょとり」と「合い言葉化」していました。

学校での有事発生時の対応について、学びの多い講演でした。