2015.9.4 「経験しないと分からないことがある」
- 公開日
- 2015/09/04
- 更新日
- 2015/09/04
校長室から
昨日(9月3日)付中日新聞のスポーツ欄に、北京で行われた「世界陸上選手権」に出場した、中部地方出身の二人の選手のコメントが「取材ノート」のコーナーに掲載されていました。
印象的な言葉が、あったので、ここに引用・紹介させていただきます。
(前略)男子高跳び予選。衛藤昂(たかし、AGF、三重県鈴鹿市出身)は、敗退が決まっても引き上げず、選手が待機する長いすの最前列に競技終了まで座り続けた。「日本でトップになっても、世界では全然通用しないんだな」という無力感を抱きながら。
直前の欧州遠征では自分より記録が劣っていた選手が、決勝に進んだ。甘くはなかった世界最高峰の戦い。「輪の中に入りきれなかった。その外で跳んでいるような感じ。加わりきれなかった」。率直な感想だった。
(中略)「経験しないと分からないことがある」と衛藤は言った。それは、衛藤にとっての疎外感であり、長田(※)にとっては未知のスピードだった。驚きにも似た世界との大差。その前ですくむのか、立ち向かうのか。後は本人次第だ。
衛藤は最後まで、予選の試技を間近で見詰めた。トップ選手の一挙手一投足を学び取るように。貪欲な向上心に進化への渇望が見えた。時には残酷な晴れ舞台。この夏にまいた一粒の種が、いつか実りの日を迎えることを願う。
(※長田拓也選手・男子400mリレー第3走者、法大、愛知県田原市出身)
私自身が大切にしている言葉に、松下幸之助が唱えた「百聞は“一験”にしかず」があります。「見たり聞いたりするより、体験してみないと分からない」ということを言い表した名言です。
衛藤選手、長田選手の二人は、惜しくも予選を勝ち抜くことができずに敗退してしまいましたが、文中にあるように「そこにいないと分からない空気」を経験できたことは、きっと今後につながるはずです。身体的に諸外国の選手に勝るものではないかもしれませんが、地道に練習を重ね、研究熱心な日本人です。次の晴れ舞台では、表彰台に上がっている姿をイメージして、頑張ってほしいと思います。
そして、この「経験しないと分からないことがある」という言葉は、古北っ子のみなさんも大切にしてほしいと思います。この先、色々なことにチャレンジしたり、参加したりすることで、学ぶことがたくさんあると思います。ぜひ「一験」を大切にしてください!
(※写真は衛藤選手の跳躍。産経ニュースHPから引用させていただきました)